バス運転手は睡眠不足を申告できるか

元高速路線バス運転手に聞いた睡眠不足

関越道高速バス居眠り事故から早6年、国土交通省は今年平成30年6月から点呼の際に睡眠状態の確認と申告を事業者と運転手に義務付けると発表しました。関越道高速ツアーバス事故が起きた当時高速路線バスを運転していた方に睡眠不足のお話を聞きしました。

「事故当日は始発便を担当しており東京駅の近くにある鍛冶橋駐車場で折り返し乗務の点呼のために会社へ電話し運行管理者から大きな事故が起きていると聞き事故を知りました。その時同じ駐車場に事故を起こした陸援隊のバスがとまっていて添乗員がなにやら、運転手に事故のことを言うとか言わないとか揉めていたのが深く記憶に残っています。私は夜行長距離トラックと高速路線バスに長年乗務していましたがドライバー職だった間に居眠りというものを数えきれないほど体験し、渋滞の最後尾に追突してフロントが潰れたトラックを見るたびに明日は我が身と思ったものでした」

バス運転手の疲労

バスの勤務でまずあげられるのが不規則な勤務時間です。ダイヤの始発から最終までの時間内で毎日出勤時刻と退勤時刻がずれていきます。今日は6時、明日は7時、明後日は8時というように出発時刻によって出勤時刻が違い当然退勤時刻も違います。常に目覚まし時計を手放せず夜寝るときも昼仮眠を取るときも運行時間に身体を合わせる睡眠の取り方では眠りも浅く慢性的に疲労が蓄積されていきます。

次に運転手の疲労を蓄積させる原因は休日の少なさです。話をお聞きした運転手さんの会社では月に4日程の休日しか取ることが出来ず、有給休暇なんてものを取っている運転手は皆無だということでした。希望の休日を申請すると結局次の休みは無く連勤となってしまいかなりキツくなるそうです。

さらに追い打ちをかけるのが接客です。トラックの運転手と違い常に乗客から見られて運転をしているバス運転手はそれだけで神経を使いますし、時間が早いとか遅いとかに始まり車内温度が暑いとか寒いとか、切符が間違って発行されているとか、乗り遅れた客がいるとか、とにかく気にかけることが多いそうです。あれだけ大きなバスを運転するだけでも神経を尖らせているのに全てのことを気にかけていたら神経が擦り切れてなくなってしまうということです。

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国の施策が骨抜きになる理由

意味のない決まりが増えるだけに見える国土交通省の対応に疑問を持つ事業者、そして利用者が多いかと思いますが結局のところ運輸系職種の人手不足を根本的に解決する方法がないのです。統計では建設業に次ぐ人手不足職種として運輸、流通が挙げられています。利用者からは安全性強化を求められますが、担い手がどんどんと減っている現実と東京オリンピックや外国人観光客の更なる増加に期待したい国にとっていたずらに規制強化をすることは都合が悪いことなのです。

形だけ整えてなんとか大衆をごまかしたいというのが本音でしょう。それでも現実は待ってくれませんから今日を、明日を回すために乗務員に無理を承知で運転させます。

自動運転が解決の要になるのか

就労可能人口が減る一方で同一のサービスを提供するロボットに注目が集まっています。自動車も例外ではなく路線バスの分野でも自動運転の実験は着々と進んでいます。最終的には全ての自動車が自動化されることが目標だとは思いますがかなりの研究期間を要することもまた事実です。それまでに運転手不足に対する別の対策を講じられなければ不採算路線の消滅と重大事故は防ぐことができません。

今、体裁を取り繕うやり方が通用しない事例が様々な業種で浮き彫りになっているところです。昭和という時代を引きずったまま終わる平成の最後に遅ればせながら日本全体の方向性を立ち止まって見つめ直していかなければならないのかもしれません。

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